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プレゼント
部屋の掃除をしていると、懐かしいものが出てきた。 ヴィレッジバンガードのカエルのキーホールダー。 キーホルダーにしては、980円と高額なそれを、 僕は3年前に付き合っていた彼女にもらった。 当時の記憶が蘇る。 2つ年上の彼女とは、同棲をしながら4年付き合った。 大好きだった。 彼女はヴィヴィアンウエストウッドが好きだったから、 僕はいつもその服を買ってあげた。 彼女が喜ぶなら、支出なんて痛くなかった。 自分の給料で足りないときは、借金もした。 でも、クリスマスも誕生日も、彼女からは何ももらったことはない。 唯一、別れる半年前の僕の誕生日に、彼女がプレゼントをくれた。 小さな箱。 僕は初めてのことに狂喜した。 「なんだろう？」そう言いながら、箱を振ってみる。 コロコロと小さな音がした。 彼女はただ、ニコニコしながら、僕の反応を見ている。 箱から出てきたのは、緑色のカエルのキーホルダーだった。 「カエル……？」 僕は言葉に困ってしまった。 すると、彼女は言った。 「いつでも、真由のところに帰ってきてね」 それでカエルなのか！ なんて可愛いヤツ！ 「ありがとう！」と言って、僕は彼女を抱きしめた。 あれから4年。 まだ、とってあったんだな……。 カエルは時間がたち、心なしか、くたっとしている。 僕はいつでも帰ってきたのに、帰って来なくなったのは、 真由の方じゃないか……。 僕は少しだけそのカエルを見つめると、迷わずゴミ箱に捨てた。 PR |
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